マクドナルドが苦戦している。
業績については、今期の売上高は前期比10%減の2千億円、営業赤字は前期より182億円悪化して250億円に拡大するとみられているようだ。
あの子供に大人気、CMバンバン打っていた、マクドナルドがここまで落ちた理由は、異物混入が日本全国で報告されたからだろう。
ハンバーガーやナゲットなどに、ビニールや、ネジ、歯まで入っていたなんて、にわかに信じがたいが、
食べ物に、可視化できる異物が実際に入っていたのだ。
二度と行かないと思った人も少なくはないだろう。
マクドナルドは添加物だらけで、健康に良くない、なんてレベルの話でははない。
しかし、異物、と考えたら、見えるか、見えないかの違いだけではないだろうか。
実際、両方共、口に入れたからといって、即死するわけじゃないのだから。
その分、見えない異物のほうが、異物であるという自覚が無い分、たちが悪いかもしれない。
マクドナルドの代表的な異物である、トランス脂肪酸という油は、心筋梗塞や狭心症のリスクを増加させ、肥満を発症させやすく、アレルギー疾患を増加させるようだ。
分子構造がプラスティックと同じらしく、3年間放置したフライドポテトが腐ってないなんて、いう話も聞いたことがあると思う。
しかもアメリカやヨーロッパではトランス脂肪酸は禁止されてるが、日本では販売されていたりするのだ。
こんな「見えない異物」が入っているのは、マクドナルドだけではない。
コンビニやスーパーの弁当、サンドイッチ、おにぎり、スーパーのカット野菜、お菓子などなど、
安さを突き詰めすぎた故に、いろんな「見えない異物」である添加物がたくさん入っている商品を売っている。
そして、安さを追求しただけでなく、あちこちいかなくても、スーパーやコンビニで全部揃う、という利便性を付加していって、街のインフラになっていった。
一方、商店街は、高いし、品揃えも悪い、しかも食材を全部揃えるには、あちこち行かなきゃならないから、時間もかかって不便なものに成り下がっていった。
商店街はシャッター通りになり、コンビニやスーパーに対抗なんてもはや出来ない、なんて思っているんじゃないだろうか?
私は、先日、近くの商店街でマトモに初めて買い物をしたのだが、
マクドナルドのような事件が起きたり、添加物の問題が取りた出されている今なら、
商店街を活性化させるなんてそんな難しいことじゃないように思えたのだ。
商店街の肉屋の話
実は、私も類にもれず、普段スーパーやコンビニで買い物をしていた。
自宅の近くの商店街なんて、通り過ぎるだけでほとんどマトモに買ったことなんてなかった。
だって、面倒。
やっぱり、何度も揃うスーパーのほうが楽チンだ。
それに、スーパーがやってない時間はコンビニに行けば、なんでも揃うし、商店街よく持ってるなあって思っていた。
しかし、先日、近所の商店街に昔からある肉屋で
ハンバーグのタネを夕飯用に買っていった。
スーパーよりも少々高かったが、肉が想像以上に良くて、
へぇ、こんな美味いんだなと、感動しながら美味しくいただいた。
そして、残りのハンバーグのタネは次回にしよう、と冷蔵庫に入れておいた。
しかし、冷蔵庫に入れっぱなしで、2日たってしました。
そういや、ハンバーグあるな、と冷蔵庫からハンバーグのタネを取り出したら、変色して食べるにはちょっと怖いので、破棄したのだ。
スーパーの肉がこんな早く悪くなったことはないと思う。
食べれなかったのが悔しかったので、1週間後にも、他の商品を買いに、同じ肉屋にいった。
肉屋の店主は私のことを覚えていて、
お客さん、ハンバーグうまかっただろ?と声をかけてくれた。
私はうまかったけど、の頃をそのまま冷蔵庫にしまってたら2日後に変色してダメになった話をした。
店主は、そりゃそうだ、ウチは添加物なんか入れてないんだからと、笑いながら、使っている肉と、ハンバーグのタネに入れている調味料を説明してくれた。
私は、だから美味いのか、と妙に納得して、牛肉のミニステーキを夕飯にしようと買って帰った。
近所の豆腐屋の話
それから、私の家の近所には美味い豆腐屋があって、スーパーよりも少々高いが、豆腐はその豆腐屋でしか買わない。
ここの豆腐を食べてしまったら、スーパーの豆腐を食べると気持ち悪くなってしまうのだ。
だが、1日でも経つと明らかに味が落ちてしまい、2日目の朝には破棄しないとならない。
スーパーの豆腐は数日経ったって平気なのに。
ここにも聞いてみたら、そりゃ朝作ったできたてが一番美味いよと言っていた。
豆腐はナマモノと一緒で、作ったあとどんどん味が落ちていくらしい。
ここの豆腐屋は朝4時から仕込みを毎日している。
店主は朝の9時には車で飲食店などに納品に行くのが日課だそうだ。
売れる分だけ毎日作らないと、味が担保できないと言う。
この豆腐屋の話は、私が買いに行った時に店主に誘導尋問して話してもらった話だ。
私以外にどうやって作ってるかなんて、話したこともないと言ってた。
つまり、ウチはスーパーなんかと違うんだぜ!って、話をすれば、スーパーに行ってる客を奪還できるってことだ。
マクドナルドのビニールやネジみたいに、本来食べるものじゃない「見える異物」は、危険を感じやすいが、
添加物みたいな利便性がある「見えない異物は」危険を感じにくい。
肉屋の店主のように、声に出して、お客さんに「見える」ように、伝えたらいいのだ。
こんな風に狙って言えたら、いままでスーパーに行ってた客なんて一気に奪還できるはずだ。
奥さん、ウチの商品は、スーパーの食材よりも、早く悪くなるよ。
それは添加物をいれてないからだ。
ウチは、新鮮なものを売ってるから、美味いんです。
添加物って健康に良くないの知ってる?ガンになるんだよ。
奥さん、家族の健康を考えたら、安いスーパーの商品をかっちゃいけないよ!
ウチはスーパーよりちょっと高いけど、お客さんの身体を一番に考えてるよ。
だって、ご近所さんじゃないか。
と。
だって、いくらスーパーやコンビニに慣れてしまったって、家族の健康には代えがたい。
それなら、お客さんが最も大事にしているものを一緒に守ればいい。
それが商店街、個人店の価値ではないか。
大資本のスーパーやコンビニはそんなことは絶対しないし、商店街の店なんて店主の顔で売ってる訳だから信頼度もある。
その人に、こんなことを言われても、家族よりも財布の中身が減るのを嫌がる主婦がいるだろうか?
食の抱える「見えない」危険を、マクドナルドのビニールやネジみたいに「見える」ようにして、お客さんを守る。
それが、シャッター街と化した商店街を復興させる一番の方法ではないか。
こうやって、お客さんを守るというのも、マーケティングの本質なのだ。
今問題の地方の行政や、にわか地方活性コンサルが逆立ちしても、このコンセプトには勝てないはずだ。