広告は、100年以上昔のアメリカで産まれた。
当時は、郵便と新聞、あと看板くらいしかメディアがない。
どうやってコピーを書いたら反応してもらえるかということと、
コピーを読ませる前に、視線をイラストでキャッチして、見出しを読ませ、本文を読ませる、という動線の研究が発達した。
そういう研究から、イラストと、キャッチコピーの関係は作られていった。
目を引くイラスト、ビジュアルが全面にある広告に、非常にシンプルかつ、強いコピーがイラストと相まって、見る人のイメージを掻き立てる。
これが写真になり、動画になり、今の広告は出来上がっているのだ。
つまり、画とコピーというのは、その相乗効果で、人の心理を動かす力がある、ということが立証されているわけだ。
写真やイラストというのは、見ただけ何か理解できるし、そのテイストでもイメージを具体的に想起させることができる。
だから、一般の人が、美しいとか、カッコイイと認識しやすいので、ファッションブランドなんかは、写真とロゴだけで世界観を訴求してる広告が多い。
アーティスティックな、その写真一枚に語らせるほうが、コンテンツとして魅力的なのだ。
コピーが入った、広告臭のある説明は、ブランドイメージを損ねる。
これはブランドを持っている企業が、広告をコンテンツとして考えたときには、非常に有効であるが、
なんせブランドを持ってない企業にとっては、さっぱり意味不明の広告だ。
これをジョルジオ・アルマーニの広告写真で比較したので、是非ご覧頂きたい。
引用:http://gqjapan.jp/fashion/news/20150626/giorgio-armani-new-campaign#pages/4
なんとも、ジョルジオ・アルマーニらしいテイストの広告写真である。
全てのクリエイティブが一流のアーティストで作られているのが分かるだろう。
せっかくなのでここに、ジョルジオ・アルマーニのロゴを差し込んでみた。
これだけで、広告になるのは、ジョルジオ・アルマーニだからである。
ジョルジオ・アルマーニの世界観、ブランド感をきっちり表現できてるので、ロゴ一発で、思わず「はい、そうですか」と頷いてしまう。
では、このロゴを違うものに替えてみよう。
アナーキーマーケティングのロゴを入れてみた。w
こんなの入れても、三流のアパレルブランドかと勘違いされるだけで無意味である。
しかも、ロゴがせっかくの写真の足を引っ張ってるので、ダサい。笑
しかし、だ。
ここにコピー付け加えることで、この画が一気に動き出して、見た人の心に印象づけることができるのだ。
コピーというのは、概念である。
写真をどう見てもらいたいかという意味付けを提示することができるのだ。
これが、コピーの役割である。
おっと、すげえ、ブランド感。爆
アナーキーマーケティングを知らず、これを初めて見た人はきっとこんなことを思うだろう。
なんだかクールなビジネスを教えてくれそうだ。
しかも、なにかの権威に裏付けされた、マトモな話に違いない。
少なくとも、ヒルズ族みたいな若者がチャラチャラやってる話ではないだろう。
センスの良さそうな人たちだから、自分とも話が合いそうだ。
こうやって、たった、一行コピーを入れただけで、さっきの胡散臭い三流アパレルの広告が、一気に意味を持ち始めるのである。
ちなみに、このコピーだけど、神田昌典氏の名著のタイトルからそのまま使った。笑
その本の装丁はコチラ。
まあ、普通の本の装丁だ。
では、この装丁を先の写真に入れ替えて作りなおしてみると、、、
こりゃ、ヤバいw
もはや、モデルが神田昌典氏のようである。笑
ちなみに、ご本人はコチラ。
あ! いま笑った人は、神田昌典氏に謝れ!笑
これが、写真のクオリティの差でもあるのだ。
ジョルジオ・アルマーニの写真のクオリティで、神田昌典氏が撮影されていたら、、、
この本を買うであろうターゲットすら変わってくるのは、容易に想像できるであろう。
たった写真1枚が、マーケティングを動かしてしまうのだ。
これが、クリエイティブと呼ばれるものの正体でもある。
だって、こんな装丁やられたら、まるで映画の世界のようなクールにビジネスを実現しちゃいそうである。
BARで美女と飲んでたら、いつのまにか金がスイスの銀行口座に入金されそうである。w
特に、本の中身は、かなり泥臭い話だけに、その先はこんな写真のような世界があるかのように感じてしまうだろう。
この本は、何十万部と10年以上も売れ続けている殿堂入りのベストセラーであるが、もし、装丁がこんな風にメッセージを与えていたら、また違った売れ行きだったかもしれない。
こうやって、ただ写真が入っただけで、見る人は勝手に意味を持たせたがる。
コピーと写真というのは、お互い相関関係を持って、メッセージを強化させるのである。
それが、コピーと写真、つまり広告の基本的なクリエイティブの考え方なのだ。
大手企業の広告の撮影が、何百万、何千万という費用をかける意味はここにあるのだ。
写真を撮ってるんじゃないのだ。
イメージを作りこんでいるのだ。
なぜなら、イメージが商品の売れ行きを左右するのを知っているからなのだ。
そして、さらにもう一歩踏み込んでみよう。
このコピーと写真の考え方、どこかで見たことがないだろうか?
勘の良いあなたであれば、お気づきだろう。
これ、「大喜利」である。
最近、ネットでも流行ってる、変な写真にコメントを付けて、笑わせる、アレである。
大喜利は、笑いに落とすが、あなたが伝えたいことを大喜利のような思考で考えてみるのだ。
写真にボケてもいいし、写真に一言付け加えるだけでもいい。
ただ、ポイントは、写真に載っていない切り口を付け加えるのだ。
先の例も、ジョルジオ・アルマーニの広告写真に、一切入ってない「非常識な成功法則」というコピーを入れたから、全く異次元のイメージを与えられるのであって、
あの写真に、COOL&SEXY、とコピーを入れても、ただ写真を説明しているだけで全くイメージを喚起していかない。
この力のある写真に、どうやったら別の見え方を与えることができるだろうかと、思考を巡らせて欲しいのだ。
これは、コピーライティング力を付ける方法の一つであることは間違いない。
熟練してくれば、マーケティング力そのものを底上げしてくれる、クリエイティブ力を養えるのだ。
なぜって、概念をコピーのみで表現するよりも、コピーと写真で表現したほうが、1000倍伝わるし、それを自由にコントロールできるのであれば、すごい表現の幅を持てるからだ。
まあ、私くらいになると、被写体見た瞬間に、コピーが浮かんでくるくらいである。w
でも、実は、これはスキルなので、慣れちゃえば誰でも習得できるものだ。
なにも、広告クリエイターとか言って、特殊技能だと思ったら、全然そんなことないのだ。
ちょっとした、思考回路を身につけ、コツを掴んでしまえば、あなたも絶対にできる。
しかも、写真だって、いまのスマホやデジカメの進化を考えたら、それなりのクオリティの写真が自分で撮れる。
写真から、コピーライティングまでコントロールできるのであれば、とんでもない表現力になるのだ。
そもそも、業界人が、広告のクリエイティブの企画!とか、たいそうな言い方してるけど、
ぶっちゃけ、やってることは、大喜利。笑
誰でもできるのだ。
だから、あなたもやってみて欲しい。
そして、それをそのまま、Facebookにあげてみよう。
あなたが思う以上のいいね!やシェアを得られるはずである。
そもそも、クリエイティブのクオリティをジョルジオ・アルマーニと競うのは、中小零細では不可能だ。
コストをかけられないのだから。
ただ、写真のクオリティでは勝負できなくても、ほかのクリエイティブスキルで補完して、ジョルジオ・アルマーニと遜色ない強さのメッセージを伝えることができる、ということにも言及しておきたいのだ。
コピーライティングだけでも、メッセージを伝えるのに苦労するものである。
デザインだけで伝えようとしても、写真だけで伝えようとしても、伝えたいことを伝えるのに苦労する。
だけど、写真とコピーライティングの二つをそれぞれ50%のクオリティでアウトプットできるのであれば、150%くらいの情報を伝えることができるのだ。
特に、インターネットやPCなどの制作ツールが発達した、今は、そういうクリエイティブの時代である。
二流、三流のクリエイティブ力でも、あなたが心から伝えたいことがあるのであれば、全部駆使しして伝えていこう。
最後は、形でなく、あなたの想いの熱さが、左右する。
それが、今のクリエイティブなのだ。