MBA教授や大手広告代理店や有名コンサルファームのマーケティングが、ぶっちゃけ、使いものにならない理由とは。 | アナーキーマーケティング

MBA教授や大手広告代理店や有名コンサルファームのマーケティングが、ぶっちゃけ、使いものにならない理由とは。

マインドセット

 

営業すらできないのに、マーケティングで売上を上げることなんて、絶対できない。
前回のバズった

この記事はNewPicksなどに取り上げられ、いろんなコメントを頂くことができた。
読んでいると、賛成意見もあるなかで、結構な肩書の方がガチガチの頭で批判されているものも少なくなかったので、今回は前回書ききれなかったことを書いていこうと思う。

そもそも、私について、簡単に自己紹介。
・広告制作畑で10年以上コピーライター・プロデューサー・営業やってた
・大企業のマーケティングに従事したことはあるが、中の人になったこともない。
・大企業のマーケティングに携わると、決断遅くて、成果がでにくいので、あまりやりたくなかった。
・そもそもコンサルタントや先生というセルフイメージはないし、そもそもそういうのがキライだ。
・とにかく威圧感もあるし遅い大企業よりも、日本の真面目なオーナー社長の中小企業のマーケティングを支援し、活性化に役立ちたいという使命でやっている。
・私自身もスモールビジネスの一商売人。その商売人としてマーケティングを必死に研究している。その視点からのマーケティング分析である。

なので、学歴も大したことがない。
現場あがりのクリエイターが、自分のビジネスを通じて、マーケターになっただけである。

 

そもそもマーケティングとはなにか?

いろんな学者が定義をそれぞれ述べていたり、マーケティング協会という団体の定義がさまざまだったりする。
つまり、マーケティングって、人それぞれの解釈がある。

ピーター・ドラッガー
「マーケティングとは、セリングをなくすことである」

フィリップ・コトラー
「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」

アメリカ・マーケティング協会定義
「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」

日本マーケティング協会の1990年の定義
「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」

学者のものはまだしも、協会ものは、なんども読んだことがあるのだが、何回読んでも意味が分からない。
こういうののスゴイのは、理解できないと自分がバカだと思えてしまうところだ。
私も過去にこの手にやられて、マーケティングの学術書を読みあさった。
そこから、自分のスモールビジネス、つまり、予算も人もいない状態のビジネスに当てはめていろんなことをやってみたが、失敗だらけ笑

つまり、これらの定義には、「主語」がないのだ。(定義だから当たり前だが)
誰のためのマーケティングなのか、ということがすっぽり抜け落ちている。
特に、日本マーケティング協会なんかは、是非、「売れ筋商品がきちんとあって、マーケティング予算に割り振れる大手企業」というのを主語に置いて欲しい。
そもそも構成メンバーみてると、この主語があっているのが分かるはずだ。
この定義なんて、日本の9割の中小企業には全く意味をなさないのだ。

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じゃあ、日本の9割の中小企業が求めるマーケティングってなに?

私が知る限り、中小企業の経営者層は、マーケティングコストを仕入れや設備投資や人件費のような、直接売上に関わる費用として考えていない。
間接費として考えている販促費や広報費を直接売上に関わる費用として換算したいのに、できていないのだ。
そこそこ食べれるくらい売れてる、それなりに評判のいい商品があるのに、それを拡販する方法がセールスしかないという問題なのだ。
ここで私が述べているマーケティングとは、
「中小企業やスモールビジネス実施すべきである、かけた広告費や販促費にたいして、費用対効果がきちんとカウントできるマーケティングシステムをマーケティングと定義している」のである。
ダイレクトレスポンスマーケティングの延長上のマーケティングをマーケティングとして定義しているのだ。

これは大企業のマーケティングと大きく異る。
彼らは有名な商品、つまり、ナショナルブランドを持っているため、極論、何もしなくても集客されるし、販売されていく。
ここでのマーケティングは、同じブランドや同じ商品が飽きないように、プロモーションやマーケティングの面白さで新鮮味を与えていくことである。
ここでは優れたイメージ戦略やクリエイティブが重要になってくる。
CMなどに流行りのタレントなどが使われるというのも、マーケティング戦略として目新しさを印象づけるには最も簡単で効果的な方法だからである。

これらを一言で、「マーケティング」と述べるのにはいささか無理があるのはご理解頂けると思うが、ほとんどの議論はこれらをごっちゃにされていることが実に多い。

ただ、これはある意味、仕方ないとも思える。
世の中の9割の広告がこれらナショナルブランドのものであるため、マーケティング=イメージ戦略と理解されやすい。
そのため、先の私のように、マーケティングを理解するために関連書籍などで学ぶほど、大企業も中小企業企業も一緒くたに「イメージ戦略が大事」だと、誤解してしまう。
例えば、ブランディングが重要とまでに、マーケティングツールを必要以上に美しくデザインしてみたりして、これぞ、イケてるマーケティング!と間違ったマーケティング戦略で動いている中小企業は少なくない。
すると、コストと労力はとてつもなく掛かってるのに、本当に売上に直結しているのか因果関係を測れず、あの数百万かけたウエブサイトはなんだったの?と言う結論になってくる。

 

マーケティングは魔法の杖ではない。

マーケティングの部分だけ、大企業の真似をしても、商品サービスや価格戦略などが伴っていなければ、全く効果が無いのもご理解頂けると思う。
また、中小企業に必要なダイレクトレスポンスマーケティングの本質的な考え方は大企業の研究にはほとんど出てこない。
その証拠に、かの有名なトム・ピーターズのエクセレントカンパニーで研究対象になった超優良企業の多くは、30年たった今、エクセレントでなくなってしまったし、トム・ピーターズのビジョナリー・カンパニーも20年たった今、多くの企業はビジョナリーでなくなってしまった。
つまり、あれらは本質ではなかった。



そういう意味では、マーケティングは、専門家でさえも、専門対象が違ってくると、表装的にしか理解されていない方多い分野である。

私としては、マーケティングは100年前のアメリカの広告にまで、さかのぼって行くとより多くの真実が見えると思っている。
なぜなら、当時は、いまのようにメディアも発達しておらず、新聞と電話と郵便という程度のメディアしかない時代でのマーケティングは、現在のリソース不足に悩まされる中小企業に近い状況、いやそれ以下の状況で、みごとに顧客とのコミュニケーションに成功しているからである。
コピーライテイングと紙面のレイアウト・デザインだけで勝負せざるを得なかったわけだ。
このような歴史に学ぶべきことは、とっ散らかったマーケティングの本質を今一度理解することにならないだろうか。

そして、私が商売人として、本質をついていると感じているのが、

マーケティングとは、セースルマンシップ・イン・プリント

である。

この言葉は100年まえにアメリカの近代広告の歴史を作った、ジョン・E・ケネディによるものであるが、ここには現代のごちゃごちゃしたマーケティング戦略を一刀両断し、すべてのマーケティングの問に答えられる本質が隠されていると私は考えている。
彼は、当時全米一の広告代理店ロード&トーマスのオーナーであり、セールスの天才、ロバートラスカーにセールスを広告にする方法を教えた人物である。
つまり、彼が教えたマーケティングとは、営業活動の一部始終をメディア化していくことこそが、最も反応が取れる広告となるということだ。
そして、それを証明したのだ。

 

営業とマーケティングの役割は別ではない。別にするから競争力を失うのだ。

最近だと、ソニーを始め、顧客の声が聞こえなくなって、エクセレントでなくなった企業が多くある。
これらは、営業とマーケティングを別に考えた弊害としか思えないのだ。
(もちろん、開発とマーケティング・営業のズレもあるだろうけど、それ以前の問題として、だ)
つまり、営業とマーケティングの役割は別ではなく、常に一体であり、それ自体が企業内のマーケティングのセールスフローとして成り立っているべきである。
冒頭であげた、ピーター・ドラッガーの「マーケティングとは、究極的にはセリングをなくすことである」という有名なマーケティングの定義は、ここをよく示唆している。
この前後を読んでも、セールスマンをなくすとは一言もでてこない。
セリング、つまり、対面販売のプロセスをメディア化することで、1:1から1:nに販売できるから、人件費削減できるという点では、対面販売よりすごくね!って話である。
ここで抜け落ちてるのは、顧客への影響力の高さと、人件費VSマーケティングコスト
の議論である。
どう考えても、人件費を増やして、1:1の対面の方が影響力は絶大であり、クロージングは高まるのに、なぜ、マーケティングをマネジメントにいれろ、と言ってるのか。
それは、顧客接点を増やし、費用を下げる、という、マーケティング戦略のススメなのである。
つまり、セールスというのが基本にあって、対面販売では対応できない顧客までを捕まえるためのマーケティング戦略をしろ、というわけだ。
これは、まさに、100年前のセールスマンシップ・イン・プリント、そのままではないだろうか。
多くの学術書、大企業などでは、マーケティングとセールスを分けているが、膨大な仕事量の運用プロセスは分けざるを得なくても、その本質は二分できないものである。

中小企業やスモールビジネスへ私がマーケティングを進めているのは、このような大企業のの弱点を少数精鋭で一体化し、突いていけるからだ。

 

顧客の販売影響力という軸でマーケティングとセールスを考えると、セールスの経験は販売上の基礎であることが分かる。

営業マン販売員など現場で接客している人たち(ここでは総じてセールスと呼ぶ)は、セールスフローにおいて顧客への影響力を考えると、上位概念である。

対面での販売活動はそのくらい影響力を持つ。
たいして、マーケティングはあくまでも下位概念。

メディアを挟むので、購入したくなるまでの信頼を勝ち取るのは難易度が高い。
そして、マーケティングだけで走ると、必ず現場リサーチが不足する。
データをとっても、それを読み解き、問題を解決するための発想力がないので、データを誤読しがちである。
データ集めてるくらいなら、現場の意見をまとめ、セールスの肌感覚を信じてリサーチとしたほうが精度が高い。
セールスの肌感覚を直感的に正しいと理解できるようになるためには、現場で直接販売したセールスの経験の有無はかなり重要だ。
これが直感的に理解でき、マーケティングを組み立てられるマーケターは優秀な方が多い。
つまり、セールスという基礎ができておらず、マーケティングという応用はできないし、やるべきではない。
そういう意味で、「営業すら」できないのに、マーケティングで売上を上げることなんて、絶対できない。 のだ。

 

個人プレーに走る営業マンは、クロージング以降を軽視しているだけ。打ち上げ花火はアホでもあげられる。

では、セールスだけを極めれば、マーケティングが簡単にできるかといったら、それも間違いだ。
とくに、セールスは売上目標の達成がその使命であるが、クロージング以降の顧客フォローや内外のスタッフとの調整などまで把握していないとならない。
自分の取ってきた案件を納品まで見守る必要がある。
さらに、その後も、アップセル、リピート、紹介などまでがを顧客から引き出さないとならないのだ。
つまり、相当な信頼感で顧客と繋がってなくてはならないし、ここまでの経験がそのままマーケティングに生きてくる。
マーケティングとは、販売活動をマネジメントすることでもあるのだ。
なので、顧客の前でしゃーしゃーと都合のいいことを並べて、持ち帰ったら、社内から反感をかってしまい、あの営業からの仕事は受けたくない!なんてことは、なるべくないほうがいいし、そんなノリで、突然1億売り上げました!と、持って来られても事故の火消しで社内が奔走するはめになり、結局利益を生み出さない。
こんなことは、よくある話であるが、これはセールスではないし、こんなセールスマンがいくら数字あげても、マーケティングなんてできないこともお分かりになられるはずだ。

 

受け手全員をハッピーにする売り込み方法なんか存在しない。

セールスは、執拗な売り込みをイメージしやすい。
これが嫌だからマーケティングやりました!という方も少なくないが、この手の方はコピーが書けない。
つまり、マーケティングのプランニングが苦手な傾向が多い。
うまいセールスマンは、執拗な売り込みを不快に感じさせないスキルがある。
これができないということは、執拗な売り込みに感じないギリギリの攻めのマーケティングプランニングもできない。
攻めのマーケティングがなぜ必要なのか?
それは中小企業にはリソースがないからである。
ギリギリセーフのヘッドラインや、オファーで攻める必要が出てくる。
そうじゃないと、マーケットに伝わらないのだ。
これに、それに不快感を示す受け手もいらっしゃるだろうが、それ以上に味方もたくさん出てくるものだ。
そういう方は、あなたの商品への興味も絶大である。
そういう見込客を捕まえるためには、やはり執拗なセールスを上手くできるトレーニングを積まないと正直難しい。
良いマーケティングメッセージは、多くの人の話題になるが、必ず誰かにdisられる。
何の反応もないのは、マーケティングの失敗以外の何物でもないのだ。

 

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私は中小企業やスモールビジネスに適したマーケティングを研究し、スモールビジネスの商売人として、それを取り入れ、ただ愚直に行動しているだけである。 そして、このようにオープンに意見しているのは、中小企業のマーケティングで真剣に悩んでいる経営者や担当者に、間違ったマーケティング思考に気づいていただき、彼らの仕事に少しでも役に立てばいいと思っているからだ。