さて、10月9日の午前中、新潟から東京に向かう新幹線の中でこの原稿を書いている。
ここ最近、出張だらけで、移動中に原稿を上げてる事が多くなった。
9月から、徳島、岡山、倉敷、そして、この前は金沢で、今回新潟。
今回の新潟は熊本とダブルブッキングしてしまい、新潟に訪れることになった。
こんな感じで日本中回っているのだが、地方ということを深く考えるきっかけを与えてくれている。
私は、東京生まれ、東京育ち。
悪そうな奴はだいたい友達、である。
いや、悪そうというか、どちからというと変態そうな奴らはだいたい友達。
これは間違いない。笑
冗談はさておき、ほぼ40年間東京で生活している、生粋の東京人である。
しかも、爺さん婆さんらは向島、母さんとかは柴又、みたいな、ちゃきちゃきの江戸っ子だ。
子供の頃から田舎、というものがないのだ。
友達は夏休みになると、田舎に帰る!と楽しそうに言いふらしていたが、
私は、2〜30分電車に乗れば親戚に会うことができたのだから。
東京でも、珍しい人種である。
だから、東京しか知らないと言っても過言じゃないかもしれない。
しかも、サラリーマンやってたころから、地方に縁がなく、出張といえば、100%海外であった。
会社を始めてからも、地方の人が出張で東京に来てるなら、俺らは海外目指そうぜ!みたいなノリであった。
そっちのほうがイケてる感じもあったから、無意識に選んでたのかもしれない。
まあ、日本一の都市が東京なんだ、と思い込んでいた。
この歳になって、こうやって日本中を回ると、私は出張を日本一楽しんでるんじゃないかというくらい、楽しんでいる。
もちろん、真剣に仕事してるわけだけど、その分、地方の楽しみ方を学ぶことができたのだ。
じゃあ、なんで私がそんなに楽しめるかというと、東京を死ぬほと知ってるからだ。
さすがに、40年東京にいたら、飽きるわな。笑
それで、東京にはないものを見つけてしまったのだ。
それは、地方での飲み食い、 すなわち、孤独のグルメごっこである。w
昨日も、講義の打ち上げでみんなで飲んだあと、ホテルに戻り、そこから街に繰り出した。
食べログで周辺を検索し、上から電話をして、空席があるか確認する。
入れる店に、行くだけだ。
スマホで検索したり、食べログみたいなアプリのおかげで、ワタミのようなチェーン店には行かずにすんでいるし、店選びで地雷は踏まない。
満足以上のコスパを提供してくれるのだ。
実にいい時代になったものだ。
おかげで、新潟で評判のいい店に入ることができ、そこで、日本酒と刺身をいただく。
刺し身のまえに何か食べようかと、女将さんにオススメを聞いたりして、勧められるまま注文する。
写真ではなかなか伝わりにくいかもしれないが、感動するくらいのお造りである。
見た目も美しいが、仕事が丁寧。
魚の選択も素晴らしいし、塩で〆たりと手仕事が入っているものも、素晴らしい。
そこに物語があるように感じるくらいである。
とくに、地酒の日本酒との相性を感じると、三秒止まって、うむむむ、、と、ひとりで唸ってしまうのだ。
もうね、感動ですよ、感動。
心が全部持っていかれる。
〆の魚沼産のコシヒカリと南蛮味噌のおにぎりと、真鯛のアラ汁は神がかっており、
うむむむ、、が10秒位に伸びた。
お会計なんか、腹いっぱい飲んで食っても4〜5千円程度だ。
なんだ、この、驚異的な圧倒的なコスパ!!
もはや、明日から、新潟に向かって、手をあわせてから、仕事しよう、と心に誓いそうになるくらいである。笑
これが、孤独のグルメ、井之頭五郎、もとい、アナーキー・イン・グルメ、加藤元康、
いやいや、そろそろ、イケダハヤト氏如く、まだ東京で消耗してるの?とか言いそうである。笑
これは、どの地方に行ってもそうなのだが、やはり、地の物は、地の酒が合う。
フランス語で言うと、マリアージュ、である。w
フランスやイタリアだって、そうだ。
地の物と、地の酒は間違いなく合うのだ。
しかし、ここで、一つ、私は言いたいことがある。
人は、地の物、地の酒、だけでは、感動はしないのだ。
例えば、イタリア行って、ワインに感動して、同じワインを土産でもって帰って、一緒に飲んでも、あの感じとは程遠くなる。
さっき土産で買った新潟の日本酒も、事務所のスタッフと飲んでも、私が昨晩いただいた感じと、全然違うだろう。
食べ物も同じだから、新潟の酒の肴と日本酒をもって帰っても、あの感じは出せない。
水が違うからなのか、空気のせいなの、とにかく違う。
東京には、イタリア料理もフランス料理も、新潟の居酒屋も広島の居酒屋も、なんでもかんでもあるが、
どんな専門店でも、いくら払っても、あの、うむむむ、、と唸ってしまう感じを提供できる店はないんじゃないだろうか。
つまり、東京でいくら気張って地の物、地の酒で揃えても、あの価値は提供できないのだ。
東京は、高いものから安いものまで、無いものは無い。
そういう選べることが価値だ。
悪く言えば、〇〇っぽければいいのだ。それが東京。
そもそも、東京なんて、ペラッペラなんですよ。
例えば、青山や代官山なんかニセモノのヨーロッパでしょ?
東京ディズニーランドなんて、千葉にあるし、ヨーロッパのハリボテじゃないか。
都内には、高級フレンチもイタリアンもあるけど、本場ほどじゃない。
実はなんでもあるようでいて、どれもこれも、本物、は、ほとんどない。
でも、地方で食すと、地の物、地の酒、地の水、地の雰囲気で、全方位から、攻めてくる。
もはや本物から逃げられないのだ。
これをやられちゃ、感動で、唸らないわけにはいかない。
しかも、東京に比べたら、とんでもないコスパである。
私は、これだけで、十分日本中を堪能できる。
別に観光なんかしたくない。
面倒だから。笑
そもそも、観光したい奴なんかいるのか?笑
私は仕事で行ってるから、なおさら、もうそれ以外何も考えたくないわけだ。
飲食というのは、とても感覚的で、直感的なことだから、誰でも楽しむことができる。
エンターテイメントである。
しかし、観光というのは、土地の歴史や地理など、理論的な思考を要するし、事前の知識がないと、全く楽しめない。
地方の物産もしかり。
ぶっちゃけ、観光で楽しめるというのは、日本史オタクくらいでしょ!笑
もうね、カッコつけてね、〇〇城はね、、、なんてゴタク垂れてる場合じゃないよ。
はあ?柴田勝家?前田利家?
なにそれ、面倒くさい!って、思わないだろうか?笑
そんなことより、美味いもん食って、美味い酒飲める、しかも土産で同じもの持って帰っても、ここで飲み食いするほうが美味いんだ!っていう方が、よっぽど行きたくなる。
なぜなら、「食」とは、直感的なエンターテイメントだからだ。
そもそもディズニーランド行く人のほとんどが、ウォルト・ディズニーやミッキーマウスの歴史なんて興味ないでしょ?
ディズニーランドに行くのは、非日常を楽しめるからだ。
ウォルト・ディズニー博物館がディズニーランドの中にあったら、ドン引きである。
お前の歴史なんか、どうでもいいのだ。
つまり、だ。
東京人からみたら、地方なんて、ディズニーランドばりの非日常があるんだよ!ってこと!
行かないと感じられない、価値があるんだ。
東京にはない価値。
これは、東京しか知らないの私からみたら、とんでもない非日常。
往復2〜3万円で、非日常に入れるのだ。
新潟なんて、東京から往復2万程度だからね。
飯食って飲んで、一泊泊まっても、三万ちょいじゃないか?
間違っても、5万は使わないな。
そう考えたら、東京のくだらねぇキャバクラや、小洒落た六本木の高級店なんか、おちおち行ってらんないよ。
帰りのタクシー代まで考えたら、間違ったら、行くもんね、五万。
大して楽しくもないのにね。笑
もうね、40年間東京にいるからね、異常なくらい情報を浴びてきてるわけですよ。
おそらく、地方の人の比ではない。
その分、残念なこともたくさんあったからね、何が本物で何がニセモノだか分かるわけ。
先が見えちゃうから、楽しくない。笑
私がディズニーランド嫌いなのも、ハリボテ感がすごいからだ。
なぜ私が、大量のクソガキの中に突っ込んでいかなきゃならんのだ。
そんなら、何倍も払って、海外行くからね。
私にとっては、そっちのほうが価値があるから。
ちなみに、日本人全員ディズニーランド好きだと思ったら大間違いだからな!
ここは声を大にしていいいたい。笑
でも、新潟なら、地元の居酒屋で腹いっぱい飲んで食って5千円程度で、東京にない本物を満喫できるのだ。
下調べだって、インターネットで出てくる店に電話しておけばいいだけだ。
彼らが、想像を超える体験を与えてくれるわけだから。
いやあ、ガキンチョいないし、私にとってのファンタジーがそこにあるわけです。
なのに、地方に人が来ないって??
そういう価値を、地元の人達が発信しないからだよ。
夢の国の住人なんですよ、地方の人って。
その土地のファンタジーを語ってほしいのね、こっちは。
観光地があります、物産これです、って、どうでもいい情報。
なんだよ、そのつまらない観光情報。笑
無理矢理産直市を作ったり、〇〇ミュージアムを作っても、金ばっかりかかって、人なんか来ない。
来ても、メディアが騒いで、一瞬盛り上げるだけ。
それで回収できりゃいいけど、そんな甘くないはずだ。
そうじゃない。
地元の飲食携わる人達が牽引するのだ。
何度も言うが食は、誰でも楽しめるエンターテイメントなのだ。
しかも従来やってない、地元の営みやそこに住む人達の人柄を伝える方法で。
こんな新鮮な東京じゃ食えない魚と、日本酒があって、とんでもなく美味い、その理由を伝えるのだ。
それをどんな想いで作り手が作っていて、居酒屋の大将がどんな想いで仕込んでいて、
それをイカした女将さんが接客してくれてるか、だから美味いんだ、と、きちんと伝えるだけでいいんだ。
彼らがなんで、その地元にこだわるかを、きちんと伝えていくだけでいいんだ。
東京じゃ味わえない最高の味わいを体験して欲しい、と伝えるのだ。
人がたくさん住んでる、東京や大阪にの人たちに、話を伝えるんだ。
そういう、雰囲気や人柄を伝えることで、人は人に会いに来たがるんだ。
そこから、その土地の歴史とか文化とかに興味を持って、何度も来ていただけるようになるはずなのだ。
モノじゃなくて、人を売る。
ディズニーランドだって、ミッキーマウスっていうキャラ売ってるから人がくるんだ。
しかもいろいろいるからね、濃いキャラが。
別にスプラッシュマウンテンがすげぇから行くわけじゃない。
これと同じ。
地元に、濃いキャラの大将や女将さんたくさんいるじゃねぇか。
行くと、彼らに絡まれるから、美味いんだよ。
だから、彼らで呼ぶんだ。
魅力を伝えるんだ。
そうすりゃ、人は来る。
海外からだって、わざわざへんぴなとこまでくるよ、コレ絶対。
これが、関係性を高めるマーケティング方法だし、そもそも地方創生の本質じゃないかと思うのだ。